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共依存からの脱却

おそろしい共依存。でも、そこからついに脱却するときが、私にもやってきた。

私の場合、仕事がほんとうに大きな助けとなった。

2018年の11月から、今の会社で働き始めた。それまでのToxicな人生とは別次元の、すばらしい環境に恵まれた。

入社しただけでなにもしてないのに、「日本語わかる人が来てくれた!」とホウボウから感謝された。初の業界で初の仕事だった私が、すべてを日本語と英語それぞれで学んでいく中、同時に二つをつなぎ合わせる作業にもなったため、それを伝えていくことでそれまで日英のオフィスの間にあった疑問点が次々に解明されていき、「そういうことだったのか!」をみんなからもらう日々。めちゃくちゃ充実していた。

人によったらね、私生活がそんなに大変なときに就職して新しい仕事なんて考えられない、ということもあると思う。でも、私の場合は逆だった。この仕事がなかったら、この時期メンタルを保つことはできなかった。

人生って、必要なものをちゃんと必要なときに運んできてくれるものなのだ。

私の「普通」で生きていて、普通に人間関係が成り立つ日々。必要だと思われることをして、必要だと思われることをしてもらえる。相手を思いやり、相手からも思いやられる。当たり前の日々に、感謝があふれる毎日。新しいことを必死に学んでいる間に、私生活のこともしばし忘れられる。

この経験が、共依存から私を救ってくれた。少しずつ「普通」を身に着けていくことができたのだ。

実家から出たときも、そうだった。職場で、普通にしていて、普通に接してもらえる日々。それだけのことが、本当に奇跡で、本当にありがたかった。自営業をしていた大きな実家に比べたら、6畳もない1ルームの部屋だったけど、誰からもなにも自分のせいにされない日々が、こんなにも心休まるものだと思わなかった。

この「普通の人間関係」の中に戻っていくごとにだんだんと、元夫との関係のゆがみがわかるようになっていった。

だから最後、元夫が首を縦に振らなかったとき、離れることができたのだ。それまでの自分だったら、「話せばわかるんだ」と何時間もそこにとどまっていただろう。これで終わりにするつもりは完全になかったとしても、あの場を物理的に離れられたのは、やっぱりこれが「おかしいこと」だとうっすらわかってきてたからとしか言いようがない。

ののさんのセッションを受け始めたのも、このころだった。忙しくてフェーズ2のカウンセラーに会いに行くことができなくなったこともあり、オンラインでセッションをしてくださるののさんに支えてもらった。その後も、フェーズ3としてメンテナンスでついてもらっている。その中でも、日々の生活の中で様々な発見があり、都度解消しつつ暮らしてる。

正式に離れて、今の家に引っ越してきてからも、

「本当にこれでよかった」
「本当にこれでいいのか」

の間で、ぐわんぐわん揺れまくる毎日。やり直したいなら、今しかない。だから今、どうするかを決める必要がある。でも、どっちなのかわからない。揺れるその気持ちを、ののさんに聞いてもらっていた。ののさんはもちろん、どっちだとは言わない。自分で結論を出せるように、動画で話したカウンセラーのワザで整理を手伝ってくれる。

そんな中、揺れてた気持ちがびたっと固まる事件が起こる。

私が使ってた、Macの話。Laptopじゃない、モニター形のかなりでかいやつ。元夫が自分のMacbookを買い替えたので、じゃあこのMacを売って、私もMacbookに買い替えよう、という話になっていた。たぶん500ポンドくらいで売れるから、足しになるねと。

思えば、そのときにすぐこれを売ってしまってたらよかったんだけど。新しい機種はどれがいいか、彼に見てもらっていた。彼はこういうの好きで詳しくて、安く買えるとことかめちゃくちゃアドバイスしてきたんだけど、けっきょくは最後まで面倒見るのがつまらなくなったらしく、「なんでも大丈夫だよ」と言われたままになってた。

ようやく私も引っ越しが済んだところで、Macを売ろうという段階になった。彼の家に行ったとき、食事の片付けをしながらその話をしてると、なぜか変な空気に。彼はこちらを見ようとしない。そして私に背を向けたまま、

「(売り上げは)150ポンドだよ」と言った。

なんの話かわからなかった。500ポンドで売るんじゃないの?と聞くと、退出時の清掃が200ポンドかかるから、残り300ポンド。それを半分にするから150ポンドだ、とのこと。

彼はずっと、私に背を向けている。顔が、想像できる。あの、鬼のような形相をしてるだろう。

え、あなたも新しいの買って、私も新しいの買って、それで終わりになる話だったよね?このMacを売ったお金は、私のMacbookを買うって話だったよね?そう言うと、彼は激昂した。そんなわけないだろ!300ポンドなんだから、半分ずつだろ!!

なんでそんな怒ってるの?と言えば、だってお前が全部もらうとかひどいこと言うからだろ!!と。

「普通」の環境にしばらくいたから忘れてたけど、こんな支離滅裂なことはしょっちゅうあった。

なだめつつさぐりを入れたところ、たぶん急にMacの売り上げが惜しくなったのだ。家を出る際の清掃費をけっこう取られるらしく、それでお金がほしくなった。でも、自己肯定感が著しく育ってない彼は、ちゃんとそう言えない。

そこで、私に対する怒りに変換する。私がひどいということにすれば、言えるから。清掃費も出さず300ポンド全部持ってくなんておかしい!あいつがひどいんだ!そうだ!ということにする。自分でもおかしいことはなんとなくわかってるはず。こっちを見れないわけだから。

どうしたらいいんだろう。とりあえず一瞬止まって、考えをめぐらせた。

一緒にやっていこうと思ってたころは、彼のこういうところをどうにかしないとと思っていた。話して、なだめすかして、理解してもらってきた。

でも、このときは違った。私はもうこの人の世話をする必要はなかった。彼の人生は、彼が自分でやっていくべきだ。

そっか、清掃費を取られるんだね、普通にそう言えばいいんだよ、そしたらわかるじゃん。誰もお金を巻き上げようなんて思ってないよ、大丈夫。私もMacbook探すのめんどくさくなっちゃったし、このMacまだまだ使えるから、じゃあ新しいの買わずにこれを使い続けようかな。

そう言うと、一瞬ときが止まって、全身まっかになってた彼の力が抜けた。な、なんだ、そうだよ、これまだ使えるんだし、使いなよ、それじゃあいいじゃん、と。戦わなくていいとわかったから、落ち着いてきた。

あのときとっさにこれを思いついた自分を、本当にほめてやりたい。長年これに付き合ってきた成果かもしれない。脳内のシナプスが一気に稼働して、脳みそ光ったんじゃないかと思う。目がチカチカした。

じゃあいま持って帰ろうかなと言うと、彼がタクシーを呼んでくれた。500ポンドもするものなんだから、電車で運んだりするもんじゃない、俺だったらタクシーだね、と。収入が増えたことを、得意気に出す。そっか、すごいね!ありがとう!と、大事に包んでもらったMacを抱えて、こわばる顔で、私はタクシーに乗った。

乗ってから、どっと体の力が抜けた。心臓が、ばくばくしてとまらなかった。

あんなのと一緒にいたなんて、信じられなかった。あんな人と理解し一緒にやっていくなんて、人間には無理だ。

たまに見るじゃん、道端で叫んでる浮浪者みたいな人。わけのわかんない理由で、人に向かって突然怒ってどなったりしてる人。あ、この人ああなるんだ、って思った。こういう人が、ああなるんだって。ああいう人たちがどうなってああなっていったかなんて考えもしたことなかったけど、まさにこういう人が、ああなるんだ。はっきりそれが見えた。

それが見えたら。私は、将来「あんな人」の妻になることを、人生かけてやろうとしてたのか。。。??

肝が冷えた。

ほんとうに、ほんとうによかった。。。離れられて。この仕事があってよかった。住めるところが見つかってよかった。いい環境に恵まれてよかった。なにより、あそこを出る気になった自分の成長が。だって、あの人と一緒になったということは、最初は自分も同じところにいたということだ。

たくさんの人に、たくさん幸運に、支えられた。ほんとうに、ほんとうに、よかった。。。。。。

タクシーの中で宇宙のすべてに感謝しながらぐったりしていたが、降りるときには心身がシャキッとなった。タクシーの運転手さんにきちんとお礼を言って、笑顔で降りた。

そう、このときようやく私は、一人前の大人となった。

これからは、自分の人生は自分でやっていく。その気持ちが、身体から四方八方にあふれ出しているのを感じていた。そして、新しい家のドアを開けた。

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